初の二刀使いである、キャリー西川の登場に驚いた人も多いだろう。折角なので、今回は二刀について見ていこう。
二刀とは、かの剣豪・宮本武蔵が始めた技で、太刀と小太刀の二本の刀を用いる。利き手には太刀、反対の手に小太刀がそれぞれ握られる。その戦法は、小太刀で敵の攻撃を受け流しつつ、太刀で攻めるというもの。一般に小太刀は防御専門と規定されており、その打突は有効打にはならない。また、公式戦での使用は大学生以上でなければ認められていない。
二刀の特徴としては、相手の打ち込みを防ぎやすく、手数が増やせるという点が挙げられる。これらはカウンターの取りやすさや、豊富な攻撃パターンを構築できるという長所に繋がっている。その反面、片手で相手の打ち込みを受け止め、または防御を崩す必要があるため、ある程度の腕力が要求される。また、太刀捌きも複雑化するので、剣道のセンスも必要だ。
このように、二刀を扱うには多くの難関がある。しかし、その華やかさと強さは捨てがたいのも事実。おそらくキャリーもそれらに憧れ、努力の末に身に付けたのだろう。
今回は珠姫と勇次が『コスモサーティーン&ブレードブレイバーショー』を観劇したということで、剣道からちょっと離れてヒーローアトラクションショーについて見ていこう。
まず会場だが、大掛かりなショーは遊園地で行われることがほとんどだ。劇中ではフリーフォールのゴンドラからレッドブレイバーがダイブをしていたが、こういった派手な見せ場は、屋外の遊園地ならではと言えるものだ。この他にも、照明や映写など大掛かりな仕掛けを用いる場合は、劇場を借りて開催されることもある。集客目的にスーパーやデパートの施設内で行われるケースもあるが、アクションや演出効果は舞台の広さに比例して小さくなることが多い。
珠姫たちの観たショーでは、実物大のデスアーマーが登場するという大掛かりな仕掛けが用意されていた。実際にもエアバルーンや、プロジェクターによる映写を用いて、巨大な敵を再現したショーも多い。また、技術の進歩やコストダウンにより、火薬やレーザーを多用したショーも稀にある。
もし、近所でヒーローショーが行われる機会があるなら、足を運んでみてはいかがだろうか? 目の前で動くヒーローたちの本物の躍動感は、あなたに子供の頃の熱き想いを蘇らせてくれるはずだ。
本話では、劇場版ブレードブレイバーの撮影模様が描かれていた。大人になればヒーローは、“中の人”が演じていることに気づくわけだが、それがどのような仕事なのかは意外と知られていない。今回は、その世界を少し覗いてみよう。
“中の人”とは、『スーツアクター(女性はスーツアクトレス)』と呼ばれている。このような、“着ぐるみを着用して芝居をする役者”というカテゴリーは世界でも珍しい。
彼らの仕事は、字の通り着ぐるみを着用しての演技である。ヒーロー番組の場合、変身後のヒーローや敵怪人のアクションを担当するが、ただアクションをすればいいというわけではない。演じるキャラクターの個性を出さなければならない上、変身前の役者がいるならば、その雰囲気を踏襲する必要もある。また、とても着心地がいいとは言えない着ぐるみを着て、激しいアクションをこなしつつ、細かい感情表現も要求される。体力と演技力が要求される、まさしく匠の世界なのだ。
また、21話にてシナイガールを演じた藤村のように、ヒロインを男性が演じていることも少なくない。いわゆる“女性らしい仕草”は、男性の方が客観的に分析できる面もあるため、男性が演じた方が女性らしく見えることがしばしばある。これは、歌舞伎の女形に通じる部分であると言えるだろう。
これからもし、ヒーロー番組を見る機会があるなら、ヒーロー、そして怪人たちの一挙手一投足にも注目してもらいたい。そこには必ずキャラクターたちの生き様や想いが投影されているはずだ!
見事な一刀捌きを見せ、室江高の一同を驚愕させたキャリー。その姿を見た勇次は、「二刀が使える人が、一刀で弱いわけないじゃないか!」と述べている。一刀と二刀は全く別物にも思えるが、なぜそう言えるのだろうか?
19話での剣道講座でも触れているが、そもそも二刀を扱うことは難しい。打ち込み・防御は片手で行わなければならないため、ある程度の腕力が要求される。同時に太刀捌きも複雑化するため、剣道のセンスも磨かねばならない。つまり、二刀を扱うには相当の実力が必要なのだ。“応用問題ができる人は、基礎問題も当然できる”といったところか。
では、二刀に分散されているこの実力が、一刀に集中したらどうなるだろう? 並みの一刀使いなら圧倒されてもおかしくはない。すなわち二刀は、ただ強くて華やかなだけではなく、身に付けることで一刀でも使える力(腕力)と技(攻撃パターン)、そして集中力を培えることができる剣術なのだ。
なんと! 聡莉から抜き胴をとったダン君!! 聡莉は彼の抜き胴を、「重心が低いから、安定して打てるんですね」と評しているが、剣道において重心はどのような意味を持つのだろうか?
ほとんどの人は、“重心は低い方が安定する”という概念を子供の頃に感覚的に理解していると思う。当然、これは剣道にも当てはまる。剣道において重心は、足捌き=フットワークと打ち込みに大きく関わっているため、できるだけ安定させる方が良いとされている。足捌きや素振りの練習も、身体にその動作を覚えさせることで、重心をはじめとする安定感を培うものだ。
ちなみにダン君の重心の低さは、見た目から分かるように背の低さと日本人らしすぎる体型に拠るもの。物理的な安定感は抜群と言えよう。また、“背が低い=リーチが短い”というデメリットを、“相手の隙を上手く突く”という天性のセンスで“相手の懐に入り込む”という強みに変えている。ダン君恐るべし!!
凛に敗北したことで、初めて“自分の剣道”を見つけた珠姫。敗北は彼女に成長するキッカケを与えたのだ。今回は、珠姫を例に、敗北について考えてみたい。
人間形成を理念として挙げている剣道において、敗北とは“道”の途中で、石やバナナの皮で転ぶようなもの。ここで大切なのは、どう起き上がり・立ち直るか。なのだが、小さいケガで済みすぐ立ち上がる人もいれば、大ケガを負いしばらく立ち上がれない人もいる。すぐ立ち上がるかどうかのタフネスさ=心の強さは、そうした経験を重ねることで鍛えられるわけだが、これまで負け知らずであった珠姫の場合、得意分野での大ケガはあまりにショックが大きかったようだ。
だが彼女は、仲間との剣道でその楽しさを、凛というライバルの存在で、内に秘めた負けることの悔しさと勝利への執念を知った。何より、“負けたことに向き合う”強い心を手に入れ、復活を遂げた。まるで、傷ついても何度でも立ち上がるブレイバーのように……。復活した珠姫は、果たして凛に一矢報いることができるのだろうか?
得意の突きで、遂に凛へ雪辱を果たした珠姫! 母への想いを乗り越え、凛に勝ちたいという気迫がもたらした、いわば気持ちの勝利であったわけだが、今回はあえて上段の攻略法を技術的に考えてみたい。
まずは、上段の特徴を振り返ってみよう。長所は打ち込む際の振り上げる動作が無い分、素早く打ち込みができるということ。短所は自分の胴がガラ空きとなるため隙が多く、一旦打ち込みを捌かれてしまうと、相手の反撃に対応しにくいという点が挙げられる。つまり、“攻撃は最大の防御”を体現する構えということだ。
対抗策としては、珠姫のように無駄な動きが少ない突きで速攻を仕掛けるか、抜き胴などのカウンターを狙うという選択肢がある。ただ、前述のように上段は打ち込むまでのタイムラグが少ないため、受け止めようと反応する前に打ち込まれていた……。というケースも少なくはない。虎侍が学生時代に石橋との戦いで上段を使った背景には、同じ土俵に立つことで、自分が後手に回ることを防ぐ狙いがあったのだろう。いずれにせよ、上段と相対するには、細心の注意と相手に劣らぬ攻めの姿勢が要求されるのだ。
初勝利がキャリーへのリベンジとなった都! その試合後に二人は草試合で勝負をしていたわけだが、キャリーは二刀、すなわち“本気”でミヤミヤに挑んでいた。二刀に対し、都はどうすれば渡り合えるのだろうか?
二刀の特徴をおさらいしてみよう。両腕が使えるということは、自分の手数が増やせると同時に、相手の打ち込みをより多く捌ける。つまり、攻防ともに強力ということだ。反面、片手で相手の打ち込みを受け止めたり、複雑な太刀捌きを行う必要があるため、ある程度の腕力と剣道のセンスが要求される。“腕は必要だが、使いこなせれば強い”。二刀はそんな戦法なのだ。
だが、弱点が無いわけではない。まず、竹刀を片手で扱うため、両手で持つ場合と比べてどうしても攻めの勢いで劣る。その結果、間合いが近くになりやすい。同様の理由で、相手からの突きといった竹刀の隙間をかい潜るような“点”に力を加える攻撃を捌きにくいというデメリットもある。
ただし、これらの弱点は二刀使い本人も自覚しているので、攻めるのは容易ではない。よって、もし弱点を突くのであれば、先に何かしらのフェイントで隙を作る必要があるだろう。
虎侍も戻り、大団円を迎えたバンブーブレード! この作品を観て、「剣道を始めたい!」という人や、かつて剣道をやっていて、「久しぶりに面白さを思い出した!」という人もいるのではないだろうか? そこで本コーナーのシメとして、あえて剣道を始める方法を紹介しよう。
最も手っ取り早い方法は、学生なら通っている学校の剣道部に、社会人なら近所の道場に入ることだろう。全くの初心者で、「いきなり道場を訪れるのは敷居が高い……」という人は、剣道のコミュニティサイトで道場の雰囲気などを掴み、心の準備をしておくといい。
“場所”を選んだら、次は“剣道具(剣道着・防具・竹刀など)”を準備しなければならない。といっても、剣道用具店に行けば大抵お買い得なセットがあるので簡単に揃えられる。予算が厳しい人は、ご近所の人の使わなくなったお下がりを頂いたり、前述のコミュニティサイトを利用して安く譲ってくれる人を探すという手もある。
こうした準備を経て、ようやく練習が始まる。単純に「強くなりたい」人は、ストイックに稽古や試合を重ねればよし。室江高剣道部のように、「仲間との剣道を楽しみたい」という人は、“練習”と“遊び”のメリハリをつけながら取り組んでいけばよいだろう。
ただ、どのような取り組み方にせよ、他者との交流で何かを得たり、いい意味で己に刺激を与えようとする姿勢を忘れてはならない。そうして人間的な成長を遂げることが、剣道を行う上で重要なのだから。それが自然にできるようになれば、あなたも室江高剣道部の一員になれるはずだ!
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