林が子供の頃は“天文学的”に見えたという剣道具の値段。確かに高級そうな印象があるが、実際のところは幾らくらいなのだろうか?
素材や作業工程によってその値段はまちまちだが、現在は防具セット(面・胴・小手)・剣道着・竹刀を合わせて5万〜8万円くらいが相場の模様。子供の目から見たら確かに天文学的な値段と言えよう。大人の目から見ても結構な出費だ。さらに高級なものになると、面だけで10万オーバー、総額で何十万円といったとてつもない額になるという。
こう書いていくと、剣道とは随分先行投資が必要な競技に思えるが、実際は道場や学校で貸してくれることが多い。なので、最初は借り物の剣道具で始め、「楽しい」そして「続けたい」と思うようになったらマイ剣道具を買い与える親御さんが多い。
確かに10万近い出費をして、ちょっとやってすぐ辞めるでは、剣道具はおろか親御さんに対しても失礼というもの。剣道具に限った話ではないが、ものを“大事にする”という気持ちは常に忘れないようにしたいものだ。
打ち込み練習の際、『打ち込み台』と呼ばれる人形が用いられることがある。これは練習相手が少ない道場や、個人で練習したい人が使用することが多い。
その種類は、木材を組み合わせたものに剣道着を着せたカカシのようなものから、鉄製のフレームで構成され、竹刀まで持たせられるものまで様々。値段もピンキリで、前者は廃材を使えばほぼタダで製作できる。後者のような凝ったものは5万〜7万円が一般的な相場のようだ。
ただ、打ち込み台を使った練習は、基礎を身に着けてからが望ましい。下手をすると、変なクセが付いてしまう危険性もあるからだ。やはり、適した“間合い”、“呼吸”、“体さばき”などを無意識で行ってくれる人間の方が練習相手としては最適なのだ。
室江高&町戸高チームは学校内で合宿を行っていたが、これはあくまで最終手段。一般的には、武道場が備えられている宿泊施設を利用することが多いだろう。こういった宿泊施設の武道場は多くの場合、バスケットコートなども併設された“体育館”としての色彩が強い。もし宿泊施設に武道場が無い場合でも、その近所にある公共の道場を借りるなど幾つか選択肢もある。
旅行代理店の中には、武道場付きの宿泊施設に強いところや、合宿を専門に扱うところもあるので、初めて合宿を行う場合は、そういった代理店を調べてから相談するといいだろう。
まあ、どんな場所で行うにせよ、本格的な強化合宿でもない限り、普段とは違う環境で行う練習や、仲間達との食事や語らいを大いに楽しむ方が健全だ。
いよいよインターハイに参加する我らの室江高チーム! でも、インターハイとは何なのだろう? スポーツマンガやアニメでよく聞く名前だが、その正式名称を知らない人は意外と多いのではないだろうか?
インターハイとは、『Inter-highschool』。すなわち、『全国高等学校総合体育大会』の意で、『高校総体』とも呼ばれている。この大会は高校全国一を決めるもので、いわば“高校生のオリンピック”といったところ。全国高等学校体育連盟の主催で毎年8月に開催されている。以前は各都道府県が持ち回りで開催していたが、2006年以降は地域開催となった。
ちなみに、都道府県レベルの競技大会を『○○インターハイ』と呼ぶこともあるが、一般的にインターハイといえば、前述した高校総体のことを指す。その場合の地区予選は『IH○○予選』と呼ばれる。室江高が挑んだ『インターハイ北予選』は、もちろん高校総体の予選のこと。いわば大会のスタートとなるわけだが、果たしてどこまでいけるだろうか?
怒りに燃えるタマキが小西に叩き込んだ、『アトミックファイヤーブレード』。要するに物凄い勢いで放つ諸手突きなわけだが、このような突きを放つにはどうしたらよいのだろう? 今回は理想的な諸手突きの出し方について考えてみたい。
諸手突きの基本的な流れは、左足で床を押し出し、右足と体を前へ踏む込み要領で相手の喉下を突くといったところ。ただ突きの際は、左足を床から蹴り離さないことがポイント! 足を離してしまうと片足立ちとなり、体がブレて突きの正確さや鋭さが失われるためだ。逆を言えば、これを意識すれば、自然に腰の入ったシャープで正確な突きができるはずだ。
そして、突いた後は素早く竹刀を手前に引き戻し、中段の構えにて斬心をとるのを忘れてはならない。こうすることで、自分の隙を減らすのと同時に、突きを綺麗に決めたことがアピールできるのだ。
虎侍のストップにより、小西との試合を棄権することとなった珠姫。劇中ではその後の流れは割愛されたが、実際に棄権をした場合は、どのような処置がとられるのだろうか?
全日本剣道連盟の『剣道試合審判規則』第30条に、負傷・事故、または選手が試合続行不可となった際の処置が記載されているので、少し解説しよう。
剣道試合審判規則 第2章 審判
第2節 第30条
負傷または事故などにより試合が継続できない場合は、その原因を質(ただ)し、次の処置をする。
@試合継続の可否判断は、医師の意見を徴し審判員の総合判断とする。その処理に要する時間は、原則として5分以内とする。
A負傷により試合が継続できないとき、その原因が一方の故意および過失による場合は、その原因を起こした者を負けとし、その原因が明瞭でない場合は、試合不能者を負けとする。
B負傷または事故者として処理された者は、医師および審判員の判断により、その後の試合に出場することができる。
C加害者として負けとされた者は、その後の試合に出場することができない。
これらを乱暴にまとめると、“故意にケガをさせた者は、それ以降試合に出られない。”、“ケガの具合によっては、負傷者はその後の試合を続けられる。”ということになる。本編と照らし合わせて考えると、珠姫の負傷は小西の妨害工作が原因なので、小西の過失さえ証明できれば、Aが適用されたと思われる。しかし、珠姫がケガした場面を見た証人は誰もいなかった上に、珠姫の性格的にケガをした経緯を報告するとも考えられない。よって、劇中のように棄権した珠姫が負けとなった。
|