剣道講座
其の六(1)
有効打突について
都が浅川に何発も打ち込んでいたが、なぜか一本は取れなかった。これはなぜか? 答えは簡単。有効打突ではないためだ。有効打突については第1回で説明しているので、今回は都と浅川の試合から、なぜ都が有効打突を取れなかったのかを考えてみたい。
まず、相手が常に動き回っていることが挙げられる。もし、近くにヒモ付の照明があるならば、そのヒモを左右に揺らし、そしてヒモの1点に注目し、そこを狙ってパンチしてみよう。狙い通りのところに当てることは意外と難しいはずだ。このように、単純な動きのヒモでも当てにくいのだから、本気で避けようとする人間相手に攻撃を当てることは、実は思っている以上に難しい。
2つめに、都が適切な間合いを取れていなかったことが挙げられる。有効打突の条件の一つに、竹刀先端の『物打』で叩くべし。というルールがある。だが、間合いを詰めすぎてしまうと、物打で叩くことが難しくなるのだ。打ち込みそのものが好きな都の性格上、勢い余って必要以上に間合いを詰め、物打から下の部位で打ち込んでいた可能性が高い。
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