剣道講座
其の二十三
上段との戦い方について

得意の突きで、遂に凛へ雪辱を果たした珠姫! 母への想いを乗り越え、凛に勝ちたいという気迫がもたらした、いわば気持ちの勝利であったわけだが、今回はあえて上段の攻略法を技術的に考えてみたい。
まずは、上段の特徴を振り返ってみよう。長所は打ち込む際の振り上げる動作が無い分、素早く打ち込みができるということ。短所は自分の胴がガラ空きとなるため隙が多く、一旦打ち込みを捌かれてしまうと、相手の反撃に対応しにくいという点が挙げられる。つまり、“攻撃は最大の防御"を体現する構えということだ。
対抗策としては、珠姫のように無駄な動きが少ない突きで速攻を仕掛けるか、抜き胴などのカウンターを狙うという選択肢がある。ただ、前述のように上段は打ち込むまでのタイムラグが少ないため、受け止めようと反応する前に打ち込まれていた……。というケースも少なくはない。虎侍が学生時代に石橋との戦いで上段を使った背景には、同じ土俵に立つことで、自分が後手に回ることを防ぐ狙いがあったのだろう。いずれにせよ、上段と相対するには、細心の注意と相手に劣らぬ攻めの姿勢が要求されるのだ。


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