剣道講座
其の十八
棄権について

虎侍のストップにより、小西との試合を棄権することとなった珠姫。劇中ではその後の流れは割愛されたが、実際に棄権をした場合は、どのような処置がとられるのだろうか?
全日本剣道連盟の『剣道試合審判規則』第30条に、負傷・事故、または選手が試合続行不可となった際の処置が記載されているので、少し解説しよう。

剣道試合審判規則 第2章 審判
第2節 第30条
負傷または事故などにより試合が継続できない場合は、その原因を質(ただ)し、次の処置をする。
(1)試合継続の可否判断は、医師の意見を徴し審判員の総合判断とする。その処理に要する時間は、原則として5分以内とする。
(2)負傷により試合が継続できないとき、その原因が一方の故意および過失による場合は、その原因を起こした者を負けとし、その原因が明瞭でない場合は、試合不能者を負けとする。
(3)負傷または事故者として処理された者は、医師および審判員の判断により、その後の試合に出場することができる。
(4)加害者として負けとされた者は、その後の試合に出場することができない。

これらを乱暴にまとめると、“故意にケガをさせた者は、それ以降試合に出られない。"、“ケガの具合によっては、負傷者はその後の試合を続けられる。"ということになる。本編と照らし合わせて考えると、珠姫の負傷は小西の妨害工作が原因なので、小西の過失さえ証明できれば、(2)が適用されたと思われる。しかし、珠姫がケガした場面を見た証人は誰もいなかった上に、珠姫の性格的にケガをした経緯を報告するとも考えられない。よって、劇中のように棄権した珠姫が負けとなった。


ページTOPヘ
バンブーブレード

(c)土塚理弘・五十嵐あぐり/スクウェアエニックス・バンブーブレードパートナーズ